健康コラム COLUMN

『検査なんか嫌いだ』著 鎌田實

2018年12月7日

医学の進歩による「早期発見・早期治療」によって「ガンは慢性病である」という考え方が定着しつつあります。

なので「早期発見の為の検診をしっかり受けましょう!」というのが多くのお医者さんの訴える事であり、地方自治体も積極的に検診を受けるように取り組んでますよね。

 

先日、諏訪中央病院の鎌田實先生の『検査なんか嫌いだ』 という本を読みました。

鎌田先生は検査嫌いの お医者さんなんです。

痛い。怖い。恥ずかしい。面倒くさい。 確かにそうですよね… 「頭ではわかってる…でも…」 私は、そんな患者の心情を理解してくれる鎌田先生の人間臭いところが好きなんです。

 

鎌田先生も確かに検診は大切だと言っています。

ただ、「どの検診が必要かは人それぞれ違う」と言います。

例えば親族に大腸ガンをやった事がある人がいるならば、 自分も大腸ガンに なる可能性が、他の 人よりも高いので 検診を受けた方がいいでしょうと。

しかも大腸ガン検診は、まずは「検便」(小学校の時にちょっと恥ずかしいなと思いながら学校に持っていたあれです)、 その次は「内視鏡検査」です。

放射線の被曝の心配もないし、血縁に大腸ガンがいる人は、その年齢より10歳若い年齢の時から2年に1度、大腸内視鏡検査をする事を勧めてい ます。

 

乳がんも同じです。

 

親族に、乳ガンをやった事のある人がいるならば、リスクが上がりますので、乳がん検診を受ける事を進めています。

ただ、若い女性が乳がん検診を受ける際は、マンモグラフィー(透明な板で乳房を挟んでエックス線を当てて撮影する事で乳がんを見つける)では難しいようです。

20~40歳ぐらいの女性は乳腺が発達してるためにガンを発見するのが難しいと言われています。

ガンも乳腺も白く映るので 「雪山で白いウサギを 見つけるようなもの」 と言われます。

特にアジアの女性の80%は乳腺が密集しているので余計に見つかりにくいとされています。

要は20~40歳ぐらいの女性は、マンモグラフィーの検診だけでがんを見つけるのは相当難しいので、エコー検査をするか、エコー検査とマンモグラフィーを一緒に行うのがいいでしょうね。

エコー検査は妊娠中に赤ちゃんを見る検査と同じですので、放射線の心配はいりません。

このように年齢や家庭環境によってもお勧めできる検診方法が変わってきます。

親族にガンの方がいる方とそうでない方ではガン検診の持つ価値も変わってくるし、 生活習慣、年齢、自分が弱いな~と思ってる臓器、体質、性格… いろんな要素が人それぞれ違います。

 

「放射線の被爆は気になるけど、検査してもらわないと心配ばかりしてしまって夜も眠れない。気になってしょうがない。」というような、「心の健康の為に」検診を受ける方だっていると思います。

 

価値観も性格も体質も皆んな違うので、どれが正解というわけではないと思います。

私は「早期に発見すれば治る可能性の高いがんを見逃して、命を落とすのはもったいない。」と思っています。

痛くない検査や、放射線の心配が少ない検査や、自分のリスクの高いがんの検査は、受けた方がいい物もあるんじゃないかな。と。

年末年始は、親族で集まる機会も増えると思います。 その時に親族の健康状態を聞いてみるのもいいのではないでしょうか。

「実は、ばあちゃん20年前に乳ガンやってるんよ」とか、 「亡くなったじいさんは生前大腸ガンだってね~」とか、 そういう事を聞いて、

「そうか!うちの家系は大腸ガンには気をつけないかんのやな!」

「じゃあ肉食中心の今の食事は見直さないかんな~!野菜の量増やさないかんな~!」とか、 検査だけでなく予防の面も、より正確にリアルにイメージできるのではないかと思います。