健康コラム COLUMN

がんの話〜毎日できるがん細胞〜

平成30年6月25日

私たちの体の細胞は、毎日、あらゆるところで寿命を迎え、新しくコピーされた細胞と入れ替わっています。

ところが何かのキッカケで、細胞の遺伝子に傷がついてコピーミスが起こることがあります。

60兆個もの細胞の一部から生まれるミス。

 

これが実は、ガン細胞のはじまりなのです。 ガンは、たった1個の細胞の小さな遺伝子変異からスタートします。 このコピーミスは、私たちの体の中では決して珍しい事ではありません。

 

毎日、だれにでも大体1000~5000個のガン細胞ができていると考えられています。

ではなぜ、全員がガンにならずにすんでいるのでしょうか?

それは、私たちの体の中には、シュレッダーのような働きをする仕組みがあるからです。

1000個できても、2000個できても、ひとつ残らず完璧に消去されてしまいます。

 

ところが、異常な細胞が、この消去のしくみをすり抜けて残ってしまう事があります。

たった1個残った異常な細胞。 さて、どうなるでしょうか?

生き残った1個のガン細胞は、1個が2個、2個が4個、4個が8個、8個が16個と、時とともに、倍々ゲームのように増えていきます。

正常細胞には寿命がありますが、ガン細胞は寿命のない死なない細胞ですから、 時間が経った分だけ細胞の数は増えていきます。

そして10億個にまで成長すると1cm、1gの早期ガンになります。

この大きさになって初めて検査でわかるようになり、ガンにもよりますが、ここまでに5年から15年かかります。

 

さらに立派な臨床ガンになるには20年はかかると考えられています。

つまりはガン細胞が大成するには、大変な時間がかかるのです。

1000個のガンの芽があっても大成するのはせいぜい1個で、ほとんど途中で死滅していきます。

 

さらに転移しようと血管の中に入っても血液の激流に飲み込まれると、ほとんどのガン細胞は死んでしまいます。 つまり生き残るのは相当な強者なのです

 

さて問題は、生き残れたガン細胞は、そんな中でなぜ生き残れたのか、ということです。

ガン細胞は、与えられた環境に応じて自由に表面(顔つき)を変えられます。

正常細胞にはこの能力がないので、 たとえば大腸の細胞が肺に移動しようとすると、免疫という兵隊に、よそ者扱いされてやっつけられます。

それによって異常トラブルを防ぎます。

 

 

ですが、ガン細胞は変装をすることによって転移が可能になります。

ガン細胞は自らの形に固執せず、自由自在に形を変えてたくましく生き延びていく。郷に入っては郷に従う強さを持っているのです。

 

さらに、ガン細胞は飢餓状態にもめっぽう強い。

正常細胞の10分の1の栄養で生きることができます。

たとえば自ら作り出した不要なものを外に出し、その回転で外にある欲しい栄養素を取り込む。

まずは自ら与えることで受け取るという知恵があるのです。

さらに正常細胞はエネルギーを作り出すために酸素を必要とするのに対して、ガン細胞は酸素を必要としないのです。

ですから、酸素があまり届かない血流の悪いところにガン細胞ができやすいわけですね。

さらにさらに、抗ガン剤に対してウイルスのように耐性をもったりもします。

 

・その場に応じて変装ができる。

・少ない栄養でも生きられる。

・酸素がなくても生きられる。

・抗がん剤にも耐えられるよう  になる。

 

まさにエイリアンのような存在です。 しかし、見方を変えると、本来は自分の細胞からできたもの。 親のせいでグレた不良息子のようなものです。 ですから「憎っくき敵」という見方もできますが、「かわいい身内」と考えて接することも大事なのかもしれません