健康コラム COLUMN

腫瘍マーカー

2019年3月7日

腫瘍マーカーという言葉を聞いた事はありますか?

 

血液検査で「がんの状態」を調べる事が出来るものです。

がんを治療されてる方から 「腫瘍マーカーが下がってたんよ」とか「前回よりも上がってて…」 などと言った言葉をよく聞きます。

健康診断で詳しく検査をされた方からもたまに 「腫瘍マーカーが高かったんやけど大丈夫だろうか…」 と言った声も聞きます。

今回は結構誤解の多い腫瘍マーカーについて書きたいと思います。

 

がんは、身体のあらゆる部位に出来ますが、全身に出来るがんの中には、 “腫瘍マーカー”とよばれる物質を作り出すものがあります。

体液(おもに血液)の中に含まれる  “腫瘍マーカー”を測定することで、がんの有無や進行度、治療効果などを、ある程度は把握することができます。

ただ残念ながら早期がんを発見する為には役に立ちません。

あくまでも 「特定のがんを発症している可能性」 として、捉えられるものです。

特定の“腫瘍マーカー”が基準値以上の場合は、さらに詳しい検査を行い、確定診断を行う必要があります。

例えばCA15-3が高い数値を示していると『乳がんの疑い』となるわけです。

ここが腫瘍マーカーのややこしいところで、数値として出るんですけど、 あくまでも『疑い』なんです。

100%ではないんです。

 

がん以外の病気や身体の状態、がん以外の病気や身体の状態、生活習慣や食生活、ストレスの有無や強さなどに影響を受けることがあるのです。

逆に、ある程度のがんが進行していても腫瘍マーカーが高くならない時もあります。

あくまでも目安なんです。

それを覚えておいてください。

 

また、がん治療をしてる時にも治療効果がどうかというのを腫瘍マーカーを見て判断します。

が、これもまたあくまでも目安。

 

腫瘍が小さくなってるのに数値が高くなる時もあれば、腫瘍が大きくなってるのに数値が低くなる時もあります。

やはりあくまでも目安なんですね。

 

現在の「副作用を我慢させて治療する抗がん剤の使い方」について疑問を持ち、「抗がん剤の少量投与」という画期的な使い方を開発した町田市民病院の外科医の・梅沢充医師もこう語ります。

 

「腫瘍マーカーでは治療効果の判断は 不可能です。 必ず画像診断と併用しなければ、がんがどちらの方向に向かっているのか判断が出来ません。」

 

ちなみに癌学会が定める、抗がん剤治療の治療効果判断基準でも、腫瘍マーカーは参考値として扱われています。

腫瘍マーカーだけを見て一喜一憂しないようにしましょう!

ただ、前立腺がんや卵巣がんなどでは、それらのがんに特異的な腫瘍マーカーはがんの動向をほぼ正確に反映するそうです。

やはり、どの種類のがんであるかで 治療も変われば状態の見方も変わってきます。

 

梅沢Dr.も本の序盤に 「がんとの戦いは情報戦だ」 と書かれていました。

鈴木薬局もしっかりとした情報をお伝えできるように知識を深めていきたいと思います。